ドロのココロだ

空間デザイナーの書くミステリー小説「ノブ&ユウシリーズ」更新記録と日々のつぶやき。

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山中温泉のあやとり橋

山中温泉あやとり橋
先日、山中温泉の鶴仙渓に架かっている「あやとり橋」を見に行ってきました。

あやとりを模した造形は華道草月流三代目家元・勅使河原宏氏によるもの。
長さ80mで、平成3年に架けられたS字型の歩行者専用の橋です。

橋なんか見に行く人がいるのかあ、たぶん、誰もいないんじゃないか、と思いつつ行ってみると、あにはからんや、大勢の人が行き来しています。

緑の中に、かなりの存在感で、S字型にうねりながら対岸へやや下っていきます。

はっきりとS字型を見ることのできるポイントを探しましたが、近くの温泉ホテルの屋上からでもないと、ないようです。

山中温泉あやとり橋

造形的に、とても面白いと感じました。

行ってみるまでは、余計な飾りも付いているのかと勝手に想像していましたが、極めてすっきりとした姿です。
むしろ構造的な美しさが際立っています。
うねっていることで、一見して構造体の見え方の変化(見る角度が違うから)があって、楽しいのです。

また、入り口からは到達点が見通せず、そのことも「渡ってみたい」気持ちをかき立てます。

山中温泉あやとり橋


鉄橋としてのひとつひとつの構造体の無骨さと、全体の姿の軽妙さの対比。
鉄橋の雰囲気の持つ懐かしさ。
鉄骨に包まれた歩行通路のスリムさ。
仰ぎ見れば巨大恐竜の首のような軽やかさ。


はっきり言って、華道家が面白がってデザインしたものじゃないの、しかも温泉地だしこてこてしたものじゃないのかなと、あまり期待はしていなかったのですが、浅はかにもそんな先入観を持っていた自分が大間違いでした。


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名古屋港水族館の青い空間

名古屋港水族館の視察報告の3です。

ある空間へ。

名古屋港水族館の水槽の前
ああっーー。
という溜息が。

広い空間ですが、閉館前なので誰もいません。
ショーのプールの横の空間です。
外はまだ明るく、青い光が水槽を通して、カーペット敷きの部屋に満ちています。

穏やかな時間。
癒される空間。

だれしも座りたくなる雰囲気です。

青い光というのはなぜこうも、穏やかなのでしょう。

青い光といえば、まず浮かぶのは海。空。宇宙。
宇宙は闇ですが、イメージとしては青いもの。(私の印象のみ?)
海も空も宇宙も広いもの…・・・。
広い空間に身を置けば癒されるということなのでしょうか。

あくまでイメージですよ。
海も空も宇宙も、決して穏やかなものとは限りませんが、なんとなく持つイメージでは。


他に青い空間は……。

人形劇の背景。
ホラー映画の背景。
・・・・・・・・・・・・。
発想が貧困ですね。
数秒の間に、いくらでも出てくると思いましたが、あんがい出て来ません。

代わりででてきた空間のイメージは、他の色ばかり。
森林?洞窟?映画館?砂漠?


ということで、ちょっと遊んでみました。


色を変えただけの次のフォトを見てください。
名古屋港水族館の紫
名古屋港水族館のラベンダー
青系統のカラーですが、色合いが異なるだけで、ずいぶんと空間の雰囲気は変化します。
どのように感じれられますか?






調子に乗って、もっと変えてみましょう。

名古屋港水族館の緑
名古屋港水族館の赤
名古屋港水族館のセピア
名古屋港水族館のオレンジ

構成も構図も同じ。
違いはカラーのみ。
でも、これほど印象が違います。

色だけで、森の中になったり、灼熱地獄になったり。
じっと眺めていると、想像が膨らんできませんでしょうか。


色が人の心に及ぼす影響はかなり大きいといえます。

特に空間の色は。


ご自宅の、あるいはオフィスの壁や天井の色はどんな色でしょうか。
白?
清潔感があってクールで家具が映える白もいいものですが、カラー化を考えてみてもいいかもしれませんよ。





遊んだついでに、おまけ。
名古屋港水族館の黒


名古屋港水族館の他の記事はこちらです。
名古屋港水族館の光演出
名古屋港水族館の亀類繁殖研究施設
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名古屋港水族館の光演出

名古屋港水族館で見た光演出関係の紹介&考察 その1。

まず、このフォトを。
名古屋港水族館光演出1
天井の丸い「照明器具」
アップはこれ。
名古屋港水族館光演出2
見ての通り、天井に水が張ってあり、斜め上から照明を当て、揺らめく光が落ちてきます。

とても幻想的でロマンチックでいいと思います。
そして水族館っぽい。

ああ、しかし残念なことに、誰も見上げている人はいません。
当然です。目の前にでかい水槽があって、美しい景色が広がっているのですから。

だれしも水槽に駆け寄っていきます。上を見る人なんていないのです。



照明器具が目立っちゃいけない。
空間を作るとき、私は基本的にそう思います。
重要なものは「光」ですから。

ただ、器具そのものを「見せる」ものも当然あります。
エスニック、和風の、和紙の、などという照明器具が根強い人気でもあります。
それはインテリアの置物的な発想です。光はその置物のおまけか、器具そのものを照らすか、のどちらかですね。
意味合いが違うのです。


さて、この名古屋港水族館の「天井水張り照明器具」はどうでしょうか。


落ちてくる光の揺らめきを楽しむ、あるいは見上げて楽しむ。

私が感じたところでは、この「照明器具」は前者です。
なぜなら、この「照明器具」の仕掛けが、丸見え、というかネタバレだからです。
見れば、「なるほど水を張っているのね。上手く考えてるよねえ」で、終ってしまうからです。
ランプは見えているし……。


こういう建築に組み込まれた照明は、一般的に「建築化照明」と呼ばれます。
そういう視点で見ると、この照明は天井懐の中にあるようです。
つまり普段は人のいかないところ。
この照明器具だけのために、メンテナンス用の通行帯や扉や、換気装置などが必要になるでしょう。
水面が動いていることから、何らかの送風装置もあるのかもしれません。
がんばっているなあ、と思います。


次に、この照明が、器具を見てもらうことを意図していなくて、落ちてくる光を楽しんでもらえばいいというものだった場合。
写真の場所は、ちょっと難しかったですね。
周りが明るすぎるから。
この照明は何個かありましたので、もっと暗いところにも設置されていました。
そこは、床面に揺らめく光が落ちて、それはそれでなんとなく判別できました。

しかし、一枚目のフォトをもう一度見てください。
水槽から落ちた光が床一面に、光の大きな揺らめきを作っていますね。
この圧倒的な光の量に、この小さな建築化照明は太刀打ちできません。
なのに、もっと大水槽に近い位置にも設置されています。(写真に映っている奥の方)


ということは、この建築化照明は「照明器具そのもの」を見てもらうために設置されたということなのでしょうか。
そうなれば、光を当てているランプが丸見え、というのは残念だ、と思いました。
もっと上から、ピンポイントの強い光を発するランプで水面を照らす、というようなこともできたのではないでしょうか。LEDを使って、ランプそのものも「見せる」というようなこともできたのでは。


私がこう書くと、デザインされた方に、うるうさいわい、わかっとるわい。といわれるでしょう。
いろいろな要因が重なって、こういう形になったのですから、それはそれでいいと思います。
ただ、せっかくなら、もっとPRというか、効果を発揮するというか、来館者に知ってもらいたいなあ、と思うのです。


この名古屋港水族館の光の演出、考察記事は次回も続きます。



名古屋港水族館の紹介記事は他にもあります。
亀類繁殖研究施設について

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新しい大阪駅のこと

新しい大阪駅。
例の大屋根。

時空の広場を覆う大屋根。
なかなか壮観で気持ちがいい。

以前中央コンコースにあった砂時計に代わって、金と銀の時計塔。
長いベンチがあってカフェがあって、用のないものでも時間を過ごせるところです。

見下ろせば、ホームに入ってくる電車が、ジオラマのように……、と思いきや、プラットホームの屋根があって思っていたほどにはわくわくしませんでした。
いずれ、ホームの屋根は撤去されて、それこそ開放的な大空間が。


ところが、数日前の新聞。
雨が吹き込むのでプラットホームの屋根の撤去は見合わせているというではありませんか。

ちょっとおかしくないですか。
横風のときは雨が吹き込むなんて、わかりきったことです。
当然、構想段階から想定内だったはず。

それをいまさら。


建築、あるいは空間の、あるいはその場所のもつパワー。
それと引き換えに生じる不便。

どちらを取るかは、新しいものを作るときに常に存在する課題です。

設計者やプロジェクトに関わった人たちは、それらを天秤にかけて、大屋根が生み出す空間に軍配を上げて、決断をしたはず。

それをいまさら。



もともと、横風のときは、プラットホームに今の屋根があっても雨は吹き込んでいました。
電車が来るまでは、線路際ではなく、プラットホームの中寄りに人は集まっていました。
屋根をすべて撤去すれば、吹き降りのときに逃げ場を失うということになりますが、だからと言って、撤去中止とは。


アイデアはいくらでもあるはず。
アイデアはいくらでもお持ちだったはず。

しかし、今になって、モタモタしているには、別の要因もありそうな気がします。
JR社内にもいろいろな軋轢があるのかもしれません。
大きなプロジェクトに関わっているメンバーに対するねたみや嫉みや、足の引っ張りもあるのかもしれません。
考えすぎでしょうか。
そんなことを考えてしまうほど、この問題に対する対応はもたついている、と感じます。
新聞報道される前に、改善策はできていて、いつ発表するかという段階だったはずだと思うからです。


新しい大阪駅。
私はとても楽しみにしています。
私だけでなく、関西人はほとんどの人が期待していることでしょう。
わくわくしていることでしょう。
「モノや空間」だけでなく、プロジェクトの進め方もスマートにしていただきたいな、と思います。



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栂池の山荘

栂池山荘の庭
栂池、といえば皆さんはどんなことを思い起こされますか?

学生時代に行ったスキーツアーでの甘い思い出?
家族で行った春の栂池自然園の散策
ドンドラに乗って、白馬大池まで足を伸ばしたこと?

栂池は私にとって、そんな思い出の地です。

(長野県小谷村)



その栂池に山荘(つまり別荘ですね)を建てるので手伝って欲しい、というお話が来たのは、今年の春のことでした。


現地について最初に目に付いたのがこの石です。

庭の景石というには余りにも自然体。

苔生し、名も知らぬ草に覆われていました。
(掲載フォトは秋の撮影です)

10数m高の雑木やカラマツ林の中にぽっかりと開いた木漏れ日の空間…。


「山荘」という言葉が似合う敷地でした。




で、竣工したのが、この建物。
栂池の山荘
(周りは木が一杯なのでなかなか上手いアングルの建物全体写真は撮れません)
(手前のコンクリートの短柱はデッキを据えるためのもの。冬に向かいますのでデッキは取り外してあります)

「庭」というより、目の前にある自然の光景を楽しむプラン。
雑木林の中にたたずみ、時間によって姿を変えていく石や苔や樹木や草々や落葉、そして光を楽しむ穏やかな一日。
ということがまず念頭に浮かんで、結局そのことが最後まで私のプラニングの軸となりました。

もちろん、クライアントも「庭を活かしたものを」というご希望でしたから、そのことに異存は無く、最後まで楽しいディスカッションの継続で計画は進んでいきました。



少しだけ、内部プランの中身も説明しておきます。
敷地がわずかに傾斜していることもあって、この傾斜に馴染むように、「庭」とできるだけ近づくように、床の構成を考えました。
内部空間は1フロアですが、メイン床が2フロア、ロフトスペース(寝室)2フロアと、計4フロアレベルに分かれています。
どの床からも異なる景が楽しめます。
至るところに窓が開いていて、林の中に住む感覚を味わえるように。
窓の高さと位置は、
先の「自然の景石」がよく見える位置に。
空に光る星を梢を透かしてベッドから眺められるように。
いつも人が集まるであろうダイニングから雪を被った山の頂が垣間見えるように。

大して広くはないのに、内部空間は変化に富んで、豊かな印象です。
表しの梁が天井の高い空間を飾っています。



そして、デザイン的には、ありがちな無骨なものではなく、少しだけ軽やかな雰囲気を出して。



来春、お披露目の会に呼んでいただいておりますので、春の景の中で、この山荘がどんな佇まいを見せているのか、楽しみです。



テーマ:アウトドア - ジャンル:趣味・実用

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